プラグインの音質

音楽やってると、よく「このプラグインエフェクトは音が良い」とかいう言葉を耳にすることが多いです。
実際にどうかといいますと、やはり一聴してプラグインにより音質の差は歴然としてあります。


マスタリング作業では、とくに曲全体にプラグインエフェクトをかけることで音質を調整するので、
パートごとにかける場合よりも差が激しく出ます。


マスタリングではEQで特定の帯域を0.1dBブーストするだけでもかなり印象が変わります。
それどころか、特定のプラグインをインサートするだけで、何もいじらなくても音が変わったりします(EQ、コンプ等でも)。


マスタリングはかくも繊細な作業なのです。


マスタリング、ミックス等の作業をしていて、個人的に驚いた音質変化現象を挙げていきます。


・T-Racks3のLinearPhaseEQをインサートして、ゲイン等はいじらずに、リニアフェイズモードONにして、L/RモードからM/Sモードに切り替えただけで音が変化。特にM成分の低域の広がりやコシがL/Rでは若干失われ、M/Sでは良い感じで締まる。M/Sモードは全体的にもT-Racks3のBrickwall LimiterのCleanモードのような独特なサリサリしたハイが締まった感じになる。
無論、理論上では音質の変化は全くないはず。リニアフェーズだし。


WAVES Renaissance EQの、アウトプットレベルを上げるだけで程よいサチュレーションが得られる(クリップしてないのに)。
上げすぎるとサチュレーションが効きすぎてボヤける。
微妙に歪みが欲しいときに有効。
ちょっとアナログシミュレート系っぽいのでこの変化は当然かも?


・T-Racks3のEQP-1Aのハイとローのゲインをそれなりに上げた後、デフォ値のアウトプット5.0を3.0まで下げ、下げた分をWAVES L3でブーストするとより洗練されたクリアなサウンドになる。デフォの5.0のままだとかなりウォームな音質。3.0以下だとちょっと元気がない音に。
個人的にはこのアウトプット3.0が歪みと音質変化のバランス的にベスト。


・T-Racks Classic EQの特定の帯域のEQボタンをオンにしただけで、その帯域付近が微妙にアナログ的に歪む。ゲインは一切上げてないのに。


・最下段にWAVES L3を挿す場合、その上のプラグインはできるだけゲインを下げ、めちゃめちゃゲインの下がった音をL3で0dB付近まで上げると、
よりハイファイで歪みや音質変化の少ない音になる。



こんな感じで、プラグインが違えば、
アウトプットゲインを0.1dB上げる場合ですら微妙に音質が違ってきます。


個人的には、Waves L3の音質変化の少なさに脱帽。
音質をウォームにしたい場合はRenaissance EQや、PSP Audio Vintage Warmer、T-Racks(特に3のSingles)がオススメです。


もちろん、16bitでバウンスしたい場合は、最終段のディザはお忘れなく。
WAVESのIDRとApogeeのUV22HRでは、個人的にはIDRのほうが好きです。
(ローエンドとハイエンドの広がり感が失われず残る感じが良いです。)


ちょっとマニアックすぎたでしょうか…。