専門書

ミックスやマスタリングが上手くなりたくて、
いろいろ専門書やDTM系の雑誌を読みあさってきたわけですが、
上達した!という瞬間って、結局は本に書いていないことを自分で見つけたときだったりします。


専門書って、いちばん肝心なことが書いていないです。
プロとアマチュアの音の違いにいちばん関わってくるポイントが書いてなかったりします。


それを書いちゃうとエンジニアさんも商売あがったりですからね。
その人が独自にあみ出した方法とかもあるでしょうし。


秘密兵器は、秘密だから秘密兵器なんです。
それをバラしちゃったら、公開兵器(?)です。


特にマスタリングでは(ミックスでもですが)倍音というものをどう扱うかが重要なポイントだったりするのですが、
本を読んでも大抵、「倍音っていうのがあるんですよー」くらいしか書いてません。
具体的にどうやって倍音を弄るかは自分で試行錯誤するしかありません。


・モニターヘッドホンで聴こえていたベースやキックの低音が、どうしてスピーカーではあんまり聴こえないんだろう?
・このリードギター、抜けが悪いなー。EQで中域持ち上げてもあんまり変わらないし…。
・なんか曲全体的に薄っぺらい感じだなー。ドラムもベースもギターもそれなりにミックスしたはずなのに…。
・バッキングのパンを左右に振り切ってるはずなのに、なんか左も右も真ん中寄りに聴こえるな…。広がりが出ない…。
・生音のサンプリングのドラム音源にしてリアルな音になったはいいけど、GM音源のシンセでドラム鳴らしてたほうが迫力があった気が…。EQで各パートのおいしい成分を持ち上げてるはずなんだけど…。


こんなときの解決策は、「倍音を操作する」しかありません。



美味しい松坂牛と、美味しい焼肉のタレと、美味しいお米を買ってきました。
さあ食べましょう…。いやいや、まず料理しないと。


お肉は、焼かないと美味しく食べられませんし、
お米だってちゃんと炊かなきゃ。そのままバリバリ食べられません。チキンラーメンじゃあるまいし。


この場合、包丁でお肉を切って形を変えても、生肉は生肉のままです。
脂身を切り落としても、生肉のままです。
EQで無駄な帯域をカットして音を加工しても、根本的な解決になっていない、
ということに似ています。


この場合、「倍音の付加」は「熱を加える」ということに相当します。
そのために使うのは、火だったり、油だったり、フライパンだったり、アンプシミュレーターだったり、PULTEQのEQだったり、SSLの卓だったり…、
いろいろあります。


それらをどう使うかは、その人の自由です。料理に決まりごとなんてありませんから。
フライパンでお肉をブッ叩いてもいいですし。


「熱を加え」れば、ご飯だって炊けちゃいます。


やっとおいしい食事にありつけました。


それでは。



いただきます。